令和7年度千葉県歯科医師会学術大会
2025年11月9日(日)
京成ホテルミラマーレ

令和7年度千葉県歯科医師会学術大会

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令和7年度第1回千葉県歯科向けエイズ研修会

医科部門

受講対象
歯科医療従事者
(※施設基準の修了証は千葉県歯科医師会会員のみの発行となります)

「その知識 古すぎます ~エイズの現状~」

千葉大学病院感染制御部・感染症内科准教授 谷口俊文

※準備中※ オンデマンド配信
谷口俊文

HIV/エイズを取り巻く状況は劇的に変化している。最も重要な概念は「U=U」である。抗HIV療法により血中ウイルス量が検出限界未満を6か月以上維持すると、性行為による感染リスクはゼロとなる。曝露後予防(PEP)も進化を遂げた。英国のガイドラインでは、HIV陽性者が6か月以上治療を受けウイルス量が検出限界未満の場合、職業的曝露を含むあらゆる曝露後もPEPは不要としている。これはU=Uの概念を職業的曝露にも適用した画期的な見解である。日本を含めた他国ではこの推奨にまだ踏み切れていないが、世界的にPEPの必要性に関する議論が進んでいる。また日本の抗HIV治療ガイドラインでは、PEPの推奨薬としてビクタルビ配合錠が新たに位置づけられた。1日1錠で済む利便性と高い耐性バリアが評価されたものである。 歯科医療従事者として、最新の科学的知見に基づいた正しい理解と対応が求められる。

専門分野
一般感染症、HIV/AIDS、移植感染症、感染制御、熱帯医学、旅行医学

専門は感染症、その中でもHIVの治療と予防、啓発活動。またCOVID-19の治療(日本感染症学会のCOVID-19治療薬タスクフォースのメンバー)、ワクチンの啓発活動に従事。日本のSARS-CoV-2ワクチン接種率向上に寄与した。現在はHIVの予防(PrEP: Pre-Exposure Prophylaxis)と早期治療(Rapid ART)の研究と推進、COVID-19治療の平準化の推進、抗菌薬適正使用による薬剤耐性菌(AMR)対策の推進などを行っている。
略歴
千葉大学医学部を2001年に卒業、武蔵野赤十字病院での初期研修後、2005年よりの米国で内科レジデント、2008年より感染症科フェローを修了。その後は日本に帰国して学位取得後、2014年より千葉大学医学部附属病院感染制御部・感染症内科に在籍。米国内科専門医、米国感染症専門医、日本内科学会総合内科専門医、日本感染症学会感染症専門医・指導医。
  • 2001年 千葉大医学部卒
  • 2001年 武蔵野赤十字病院初期研修医
  • 2003年 在沖縄米国海軍病院
  • 2005年 コロンビア大学附属セントルークス・ルーズベルト病院内科レジデント(ニューヨーク)
  • 2008年 ワシントン大セントルイス校感染症科フェロー(セントルイス、ミズーリ州)
  • 2013年9月 千葉大学大学院医学研究院博士課程修了(医学博士)
  • 2013年10月 千葉大学大学院医学研究院 分化制御学教室 特任助教
  • 2014年4月 千葉大学大学院医学研究院 疾患生命医学教室 特任助教
  • 2014年10月 千葉大学医学部附属病院 感染制御部・感染症内科 助教
  • 2018年4月 千葉大学医学部附属病院 感染制御部・感染症内科 講師
  • 2022年6月 千葉大学医学部附属病院 感染制御部・感染症内科 准教授
所属学会・資格・役職など
  • 医学博士
  • 米国内科専門医
  • 米国感染症専門医
  • 日本感染症学会専門医
  • ICD(インフェクションコントロールドクター)
  • 日本内科学会総合内科専門医

歯科部門

受講対象
歯科医療従事者
(※施設基準の修了証は千葉県歯科医師会会員のみの発行となります)

①新たな感染症を踏まえたエビデンスに基づく歯科診療における院内感染対策

②千葉県エイズ協力歯科医療機関紹介制度について

千葉県歯科医師会学術委員会栁町忠正

栁町忠正

HIV感染症は、医療の進歩に伴い完治は困難であっても、服薬により発症を抑えたり、重症化を防止することが可能となり、現在では針刺しなどの血液暴露による感染症発症リスクで、HIVについては多剤併用による暴露後予防が行われるようになり、職業的暴露による感染はほとんど発生していないのが現状である。HIV陽性者の社会生活を支援するため、身近な地域で安心して歯科医療を受けられる必要がある。しかし陽性者は、原疾患が安定しているにも関わらず、歯科での受診を拒否されるケースが散見されてきた。HIVに限らず、人類はさまざまな感染症に遭遇し、パンデミックにより人類の歴史は変えられてきた。19世紀後半になってから病原体やその治療法がわかってきたことにより感染症による死亡者は激減した。しかし、1970年頃より新たな感染症の「新興感染症」や一時は発生数が減少するも再び出現した「再興感染症」が問題となっている。私たち歯科医療従事者が、これらの危機を回避していくには、正しい感染対策の知識を身につけ、実践していくことが重要である。「標準予防策(スタンダードプリコーション)」や「感染経路別予防策」が基本的な措置となる。新興感染症に対して重要となるのが、これまでの感染予防策をより一層確実に行うことである。今回は感染対策の基本から、新興感染症対策までを含めた話をしたいと思う。あわせて、2014年より開始された千葉県エイズ協力歯科医療機関紹介制度について説明をしたいと思う。