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千葉県歯科向けエイズ研修会 オンデマンド配信

配信2026年11月8日(日)終日配信

講演① 『大きく変わったエイズの常識』

講師

金田 暁 先生
(独立行政法人国立病院機構千葉医療センター 消化器内科 医師)

男性同性愛者に多い原因不明の後天性の細胞性免疫不全症がエイズ(AIDS)後天性免疫不全症候群と命名されたのは1982年であり、翌1983年にはエイズ(AIDS)の原因が新しいレトロウイルスであることが判明してHIVと命名されている。当時は発症すれば予後1~2年であり、不治の病で非常に怖いものとの認識が刷り込まれ、40年以上経過した現在でもまだこのような認識をもっている人が多い。また治療もたくさんの薬を飲まなければならないと認識している方も多いかと思われる。しかしこの40年間のHIV診療の進歩は目覚ましく、多くの人が抱いてきたこれまでのエイズの常識が近年大きく変わってきている。エイズでは死ななくなって平均寿命は非感染者と変わらなくなり、今では生活習慣病への対応が重要になっている。抗HIV薬をきちんと服用してHIVの増殖を抑えていれば他人に感染させることはないことが証明されてHIVはうつらなくなり、抗HIV薬を服用することで感染予防も可能となった。治療も非常に簡便になって、現在は1日1回食事に関係なく比較的小さな錠剤を服用するか2か月に1回の筋肉注射を受ければ十分となっている。また週1回の内服薬や4~6か月ごとの注射薬が現在開発中である。

HIVの完全な排除はまだ困難であるが、きちんと治療している患者から感染する可能性はなくなっており、このような方が歯科診療を希望して来院したときは、ぜひほかの患者さんと同様に治療にあたっていただくようお願いしたい。

講演② 『歯科における感染対策―歯科領域における抗菌薬の適正使用を含めて―』

講師

福田 謙一 先生
(東京歯科大学 口腔健康科学講座 障害者歯科・口腔顔面痛研究室 教授)

12年前、歯科で使用されるハンドピースの滅菌処置が不十分である旨の報道があり、歯科の感染対策が世間で話題になりました。その後、数回に及ぶ感染対策に関する厚生労働省からの周知の発信、また新型コロナ流行時代を経て、歯科の感染対策は随分進歩してきたと思います。しかしながら、今一度、徹底が必要です。感染対策の基本は、厚生労働省の指針や日本歯科医学会のマニュアルに基づき、すべての患者の血液や唾液を感染源とみなす「標準予防策(スタンダード・プリコーション)」の徹底です。

歯科では、歯性感染症の治療または術後感染予防の目的に抗菌薬を使用する機会が多いですが、薬剤耐性菌の増加の問題や消化管吸収が低い経口第三世代セフェム抗菌薬の乱用などの問題があります。日常臨床における抗菌薬の適正使用に関して見直しが今求められています。

ここでは、歯科における感染対策の基本と抗菌薬の適正使用について、概説します。

略歴
1990年 東京歯科大学卒業
1990年 同大学歯科麻酔学講座助手
1994年 東京大学医学部麻酔科医員(~1995年)
1997年 アメリカ合衆国UCLA Habor Medical Center 麻酔科客員研究員(~1998年)
2004年 東京歯科大学水道橋病院歯科麻酔科/口腔顔面痛みセンター科長
2006年 東京歯科大学口腔健康臨床科学講座歯科麻酔学分野助教授
2007年 東京歯科大学口腔健康臨床科学講座歯科麻酔学分野准教授
2015年 東京歯科大学口腔健康科学講座/障害者歯科・口腔顔面痛研究室教授(現在に至る)

資格
歯学博士
口腔顔面痛学会指導医
日本障害者歯科学会指導医
日本歯科麻酔学会専門医

主な著書
  • 「フローチャートでわかる歯科医院における50の痛み」(著書)医歯薬出版
  • 「臨床検査のトラの巻」(編集/分担執筆)メディア
  • 「歯科医院のための全身疾患医療面接ガイド」(編集/分担執筆)メディア
  • 「口腔顔面痛の診断と治療ガイドブック」(分担執筆)医歯薬出版
  • 「歯科における痛みとしびれの臨床」(編集/分担執筆)クインテッセンス出版
  • 「歯科麻酔学」(分担執筆)医歯薬出版
  • 「計る・観る・読む モニタリングガイド」(分担執筆)医歯薬出版
  • 「実地医家のための痛み読本」(分担執筆)游井書店
  • 「医師・歯科医師のための口腔診療必携」(分担執筆)金原出版
  • 「下歯槽神経麻痺・舌神経麻痺」(分担執筆)医歯薬出版
  • 「歯科局所麻酔ハンドブック」(分担執筆)ヒョーロン・パブリッシャーズ
  • ほか
福田 謙一

講演③ 『千葉県エイズ協力歯科医療機関紹介制度について』

講師

栁町 忠正
(千葉県歯科医師会学術委員会 委員)

HIV感染症は、適切な治療の継続により長期的な健康管理が可能な疾患となっており、歯科医療においても安心して診療を受けられる地域医療体制の整備が重要となっている。一方で、HIV感染症に関する知識や経験の不足、不安や誤解などにより、診療体制に地域差が生じることも少なくない。

千葉県では、HIV感染者・エイズ患者が安心して歯科診療を受けられる環境を整備することを目的として、「千葉県エイズ協力歯科医療機関紹介制度」を実施している。本制度は、所定の研修を修了した歯科医療機関を協力歯科医療機関として登録し、医療機関や行政機関等と連携しながら、適切な歯科医療の提供を支援するものである。

本研修会では、HIV感染症に関する最新の基礎知識をはじめ、歯科診療における標準予防策(スタンダードプリコーション)の考え方、診療時の留意点、紹介制度の概要や登録手続きについて解説する。また、HIV感染者を取り巻く現状や地域医療における歯科医療機関の役割について理解を深めるとともに、患者が安心して受診できる医療提供体制の構築に向けた実践的な知識の習得を目指す。

本研修を通じて、HIV感染症に対する正しい理解を深め、すべての患者に対して安全で適切な歯科医療を提供できる地域歯科医療体制の充実につなげることを期待する。

栁町 忠正

※歯科点数表の初診料の注1に規定する施設基準に準拠

※歯科外来診療医療安全対策加算1および歯科外来診療感染対策加算1の施設基準に準拠

学術プログラム